月の都
蓮が咲く波無き海 月の都は今宵も平穏也
兎の身分故には、筆とること御許したもうて
友のキツネが語るは あなたが月にお戻りなさる
幾度の十六夜を過ぎれども、忘れぬ想いを
友のキツネは祭のごとくコンと鳴き
月の都に戻られた あなたをかぐや様と
呼ばねばならぬ 寂しさゆえに
薄荷咲く波無き海 かぐや様は毬で遊ばれる
従者ごとき兎故、筆とること御許したもうて
かぐや様、遊び相手欲しさに毬を差し出しなさる
幾度の新月を過ぎれども、語れぬ想いを
友のキツネは囃しのごとくコンと鳴き
月の都に戻られた あなたをかぐや様と
呼ばねばならぬ 寂しさゆえに
私などに微笑みかけるのは何故ですか
求婚を全て断ったのは何故ですか
小さき私は勘違いをしてしまいます
ですからお暇を頂きとう
それでは失礼いたしとうございますかぐや様
月の都の平穏を願う兎