天に手を、古に舞う

何度目かの清兵衛ブログ

花の都

優しい音に囲まれて あぜ道を行く花嫁行列が
少年は姉を遠くから眺め 鳥居を超えて花嫁は進む
逢魔が時が迫る時 姉は婿の家の敷居を跨ぐ
ふて腐れる少年は、庭で遊びふとそれに気づいた
藪の中を 通り抜けると 紫陽花畑
そこで狐がコンと鳴く
花の都は、誰もが望む 花の都は、、、

柔わい音に囲まれて 少年は花畑に横たわる
クツワムシがウマオイが 奏でる音楽に身を委ねる
うつらうつら 微睡むころ 日が沈んで
そこで狐がコンと鳴く
花の都は、誰もが望む 花の都は、、、
花の都は、誰もが望む 花の都は、、、

少年は姉想ふ なぜ僕を置いていくのかと
少年は姉想ふ あなたの思い出はどうすればと
少年は姉想ふ ただありがとうと
少年は姉想ふ あなたの幸せだけを願うと
気づけば狐は消えていた

花の都は、誰もが望む 違うそうじゃない、
花の都は、僕らが望む 誰もがじゃない 僕が
花の都は、僕らが望む 僕が一番、、、

ブリキの金魚がゆうり、ゆうり

流るる川の両側 立ち並ぶ古家は時を忘れ
水面の枯れ葉が何かを待つ 街灯だけがただ不気味に

太鼓橋に飛沫が跳ねる 音なく川下より登るそれは
鱗は様々に塗られ 尾は、水草の中、魚が揺れる

ブリキの金魚はゆうり、ゆうりと止まりて
木の葉の周りを回るるは

踊る金魚は皆も誘う 水門から水底から 集まる
あれよあれよと集いして 川一面赤赤赤 染まった

ブリキの金魚はわらり、わらりと集まりて
互いの周りを回るるは
ブリキの金魚はかうり、かうりとぶつかれば
木の葉の前で止まりて

川のそば

時間だよ 門限の時間
カラスがさ カラスが鳴くから
帰ろうよ 帰ろうよ 僕と
帰ろうよ 帰ろうよ 僕と
今日ずっと 君を見ていて
すごくさ すごく楽しかったから
帰ろうよ 帰ろうよ 僕と
帰ろうよ 帰ろうよ 僕と
川の中

帰ろうよ 帰ろうよ 川から手招きする僕の手を掴むだけだよ
帰ろうよ 帰ろうよ 必ず連れて行くからさ
カエロウヨ カエロウヨ
カエロウヨ カエロウヨ 水の中 沈む

泣いてサラバ

孤独の理想描いてどこへともなく歩く
愚か者

行き先は?と聞かれたら「海の底へ」と答える
怠け者は旅をする

雨が肩を濡らして
雪が踝を濡らして 
太陽が背中を濡らす 
こんな日に

泣いてサラバ 昨日離れた君のいない町よ
泣いてサラバ あえて叫び喘ぎ 流す涙を 

下らないと捨てた夢再び見ようとはしない 
幸せ者

億分の一に捨てられて夢を作ることを止めた
素敵な者は旅をする

雨が肩を濡らして
雪が踝を濡らして
太陽が背中を濡らす
こんな日に

泣いてサラバ 昨日の別れで流せたらよかった
泣いてサラバ 僕の目から頬を濡らしてく涙が

泣いてサラバ 昨日出なかった嗚咽を殺して 
泣いてサラバ 昨日出なかった涙を拭いて 
泣いてサラバ 帰ってきたときも何も変わらないだろうだけどサラバ ただ悔しさを月に例えて

へーすけの唄

曖昧な月夜の晩に 放られた君はへーすけ
3センチ伸びた光を 辿って行く君はへーすけ

白銀の毛並みが良く 煌めいた君はへーすけ
寂しさを好奇に変えて 進んでく君はへーすけ

月夜の影のキャベツ畑を 進むへーすけ
声を掛ける なぁさ、なぁさ、

世は事もなし それも彼も
神はいずこへ ドゥルラ、ドゥルラ、
世は情け
何もかも知って悟ってうろうろうろうろうろうろしてるのかい?

なぁさ、なぁさ、


うとうとと歩くリズムで 誘って行く君はへーすけ
嗅覚で天国の門 進んでいく君はへーすけ

眩いほどの階段を一つ 登るへーすけ
声を掛ける なぁさ、なぁさ、

命は短し、歩けよへーすけのワルツ
リンスタラ、リンスタラ、
命は軽し
君がいなくとも世はさギリヤギリヤギリヤと回るよ

なぁさ、なぁさ、


世は静かし、夜はやさし、世は謳歌し、夜は、

世は事もなし それも彼も
神はいずこへ ドゥルラ、ドゥルラ、
世は情け
何もかも知って悟ってうろうろうろうろうろうろ

命は短し、歩けよへーすけのワルツ
リンスタラ、リンスタラ、
命は軽し
君がいなくとも世はさギリヤギリヤギリヤと回る

なぁさ、なぁさ、

化け猫の花火

群青が落ちる通り 提灯と金魚が染まる
龍笛と鉦の音が 彼方より耳に届く
謡物誘われるは 出羽よりの妖なり
蝉の声、ともる灯り 儚きは浴衣姿

柘榴の花びら踏みつけて 無数の金魚と提灯と
祭囃子に語りゆく 子供に化けた化け猫は
愛を探して出店を覗く

シャンシャンテントシャンシャントテン

山車蔵が開くを待ち 担ぎ手は甘酒交わす
篠笛の音と共に 御輿にも神が宿る

稲荷神社を泳ぐ金魚 掬うはやさし星までも
揺らす風鈴戯れる 甘酒片手に化け猫は
愛を探して御輿にのぼる

シャンシャンテントシャンシャントテン

祭らる神を焚き付けて 柘榴の花びら天に舞え
金魚と提灯泳がせた 花火を上げた化け猫は
愛はここかと高らか笑う

シャンシャンテントシャンシャントテン